包装紙タイムトラベル

つつむ "かお" が映す160年

いらっしゃいませ。

本日は、川徳の歴史とともに歩んできた「包装紙」の時間旅行へ、皆さまをご案内いたします。

贈り物を包む一枚の紙。

それは私たちにとって、ただの包装ではなく、時代や想いを映し出す、小さな物語の舞台でもあります。

レトロな呉服店時代、戦後の希望を映す色彩、80年代の力強い華やぎ、そして現在――

川徳の包装紙は、まるで時を旅するように、私たちの暮らしとともに姿を変えてきました。

百貨店の“かお”ともいえる包装紙の変遷をたどるタイムトラベルを、私たちが大切に紡いできた160年の物語とともに、どうぞごゆっくりと、お楽しみくださいませ。

川徳呉服店の包装紙と平袋

川徳呉服店の包装紙と平袋

大正~昭和初期

包装紙には松竹梅、平袋には七福神があしらわれ、縁起の良い取り合わせがお買い物をした人の気持ちをいっそう華やかにします。
昭和初期の大売出しは、それはもう大勢のお客さまで賑わい、肴町通りは身動きも取れないほどだったそうです。

肴町時代の包装紙

肴町時代の包装紙

1956(昭和31)年~

戦後の混乱から好景気へ。発展の礎となる、近代ビルの新店舗が開店した昭和31年10月から使われた包装紙です。躍動感のある図柄が、もっと豊かに暮らしたいというお客さまの気持ちを、自然と引き立ててくれるようです。
新店舗には「夢の階段」と呼ばれたエスカレーターが設置され、お越しいただいたお客さまは、心躍るような思いで上階へと足を運ばれたことでしょう。

創業100年時代の包装紙

創業100年時代の包装紙

1966(昭和41)年7月1日~
1980(昭和55)年10月6日

群れで羽ばたく野鳥キビタキをデザインした包装紙。当時、川徳デパートのシンボルはこの「キビタキ」でした。その頃の店内ご案内リーフレットに次のメッセージが添えられています。
「この鳥は岩手の野鳥『キビタキ』が飛ぶ川徳の包装紙です。かわいいキビタキの群れが幸せを包んでお届けいたします。」(原文ママ)
高度成長を遂げた後の、オイルショックによる世界的な不況。それでも、包装紙に描かれたキビタキの群れは、いつも空を仰いで羽ばたきます。
あの頃の人々の喜びや、暮らしに寄せる温かな願いが、今も伝わってくるようです。

1980年代の包装紙

1980年代の包装紙

1980年代

赤/1980(昭和55)年10月18日~1984(昭和59)年11月30日
青/1984(昭和59)年12月1日~1989(平成元)年10月6日

菜園地区に新店舗がオープンした1980年10月18日から使用された包装紙です。
川徳のイメージとして、このデザインが最も印象に残っている方も多いのではないでしょうか。 デザインや色彩を統一することで一定の印象を与え、それが企業の個性として表現される「CI(コーポレート・アイデンティティ)」が重視された時代でもありました。
発色を高めるために上質な紙を用い、インクも深くたっぷりとのせたこの包装紙には、豊かさや洗練を追い求める当時の気運が色濃く映し出されています。

1990~2000年代の包装紙

1990~2000年代の包装紙

1989(平成元)年10月7日~
2017(平成29)年9月頃

90年代のモダニズムを体現したこの包装紙には、川徳の「Kマーク」、五角形のアネックスカワトク「ハウスマーク」、八角形の「KaWaToKuマーク」、そして長菱形の両店の「電話番号マーク」が、横一列に整然と並べられています。4つの異なる形のマークを規則的に繰り返すことで、軽やかでリズミカルな印象を生み出し、それぞれのマークが主張しすぎることなく、調和と温かみを感じさせるデザインに仕上がっています。
地域に根ざした百貨店をめざした当時の理念が、この包装紙から今もなお伝わってくるようです。

現在の包装紙

現在の包装紙

2017(平成29)年9月頃~現在

創業150周年の節目を経た翌年、川徳は包装紙をリニューアルしました。リニューアルコンセプトは「弾む心、弾む声。」。
K・A・W・A・T・O・K・Uの文字ひとつひとつは、お客さまとスタッフの交わす「声」とおもてなしの「心」。にぎわうフロアと心躍る期待感を表現したデザインは、確かな品質と高い信頼、そして地域との調和を受け継ぐ新たな一歩を象徴するものです。
震災を乗り越え、支え合いながら歩んできたこのまちの記憶とともに、新しいカワトクの歴史が紡がれ、未来へと続く物語が静かに始まることを願っております。

あとがき

包装紙のタイムトラベル、いかがでしたでしょうか。

懐かしい記憶をたどる旅のなかで、日々の暮らしにそっと寄り添ってきた川徳の"かお"が、少しでも皆さまの心に映りましたなら幸いでございます。

これからも、包装紙という"かお"に想いを託し、 変わらぬ気持ちを皆さまに添え続けてまいります。

本日は、時をめぐる旅をご一緒いただき、誠にありがとうございました。


■ 参考文献 川徳創業140年記念誌『奉仕こそわがつとめ』
*2007(平成19)年、川徳創業140年記念誌編集委員会/非売品

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